2021.08.24

世界一やさしい 「経営戦略」立案講座 プロローグ

世界一やさしい 「経営戦略」立案講座 プロローグ

はじめに

営業の人員を補強しても売上が伸びない。競合が増え、自社の優位性が薄れてきた。コンサルティング会社を入れたが、一向に経営が改善しない。本書を手にとってくれたみなさんは、こうした経営に関する何かしらの課題を抱えているのではないでしょうか。

 

経済がグローバル化した近年、国内市場の縮小や新興国企業の台頭、海外金融市場の激動などの影響で経営環境はめまぐるしく変化し、従来のやり方を踏襲した経営はもはや通用しなくなっています。
中小企業庁の調査によると、中小企業が倒産する原因の第1位は「販売不振」ですが、「既往のしわよせ」が第2位となっています(2014年)。既往のしわよせとは、危機に対して何ら対策を講じなかったことを意味します。
経営者が過去に成功した事業の継続にとらわれてしまう、あるいは危機を感じたとしても相談できる相手がいないなどの理由から、経営環境の変化に合わせて新たな戦略を打ち出すことができなかったということです。

 

かねてから日本の企業には、一族経営の2代目社長や社内政治をくぐり抜けて出世したサラリーマン社長が多く、海外の企業に比べてプロの経営者が少ないと言われてきました。
カルロス・ゴーンを招聘して大改革を図った日産自動車のような例は稀で、とりわけ中小企業においてはほとんど見られません。
また、企業経営のパートナーであるコンサルティング会社、広告代理店、ITベンダーなどにしても一定範囲で「部分最適化」しかできないのが実態です。包括的な経営戦略の立案をサポートする力はありませんので、上手にハンドリングできずに、かえって経営活動が混乱するケースも多発しています。

 

こうしたことの背景にあるのは、経営者、経営幹部の経営戦略を実践的に学ぶ機会のなさです。
私はこれまで英国や欧州の大学院で経営管理学を学びましたが、国内と海外では教えられる内容が大きく異なっているようです。海外では実践が重視されるのに対して、日本では知識として理論を学ぶことが中心になっているのです。
学者や評論家であれば理論を研究すればいいかもしれませんが、実際に経営に携わる以上は、その知識を生かして実行に移すことができなければ意味がありません。

 

私はかつて広告会社で経営に関わっていた頃に、こうした問題意識を強く持つようになりました。いくらクライアントがお金をかけて広告を打っても、それが経営戦略の一部として考え抜かれていなければほとんど効果が得られないことに気づいたからです。
それからは得意領域である広告の知識や経験を一旦捨てて、企業の経営課題を解決することを自己の「使命」と決め、新たな取り組みを開始。有能な戦略コンサルタントやクリエーターなど、各業界からエキスパートを集結させて、経営課題を解決する新たなスキームの開発を目指したのです。

 

そして2012年、コンサルティング会社や広告会社、ITベンダーが持つノウハウを融合させた、包括的な企業経営戦略のサポート会社を設立。上場企業の事業戦略策定から広告制作、さらに中小企業の経営戦略策定、地方活性事業、宇宙開発事業など、手掛ける領域は年々拡大しています。

 

本書には、これまで私が蓄えてきた知見のみならず、経営学研究や企業戦略サポートにおけるさまざまなノウハウをわかりやすくまとめました。
私自身の経営戦略研究と現場の実践経験から得た、経営戦必須要素である、「6つの基本」や各種戦略テクニックなど、紹介する内容は多岐にわたります。今までの難しい経営戦略の書籍とは一線を画し、気軽に読めるようなるべく分かりやすい言葉や説明を心がけています。

 

本書が経営のヒントとなって事業の滞りを解消することができ、「この本を手に取って良かった」と思っていただける方が一人でもいれば、幸甚の至りです。

 

ストラテジックパートナーズ代表取締役 芦田博