2021.08.24

世界一やさしい 「経営戦略」立案講座 第八章

世界一やさしい 「経営戦略」立案講座 第八章

オペレーション戦略でKGIを実現する

オペレーション戦略を立てるには

オペレーションとは、その名の通り、いよいよ実践行動を行うことをさします。ビジネスでは一般的に、業務の目標を達成するため、物事を運営・推進していく手順を定めること、また、それに沿って実施していく一連の作業、実務計画のことをいいます。

 

いくら経営戦略を持っていても、それを実現するための具体的なプロセスであるオペレーションがしっかりしていないと、企業経営はスムーズに行えません。そのため、このオペレーションの計画はしっかりと設計しなければなりません。

オペレーション戦略の事例

オペレーション戦略は、従来の営業活動だけでなく、新たな展開が模索される施策のひとつです。何のオペレーションをするかによって異なりますが、顧客に対する接し方だけではなく、プレゼンの仕方、マーケティングツールの活用、取引先の支援など、いろいろな要素を考慮しなければなりません。
オペレーション戦略の世界で、今注目を集めているのが、「オムニチャネル」というものです。ちょっと前から話題になっているので、耳にしたことのある人もいるかもしれません。
現在、オンラインショップの普及は著しく、例えばアマゾンの登場によって町の書店がどんどんつぶれていったり、楽天市場やヤフーショッピング、地方産品のお取り寄せもネットで可能になったりと、何でもオンラインショップで買い揃えることができる時代となりました。商品を販売する側としては、オンラインショップ抜きには営業できないほどです。
この波に押しつぶされそうになった実店舗を立て直すべく、2011年とかなり早い時期から動き出したのが、あの米国でも最も有名なデパート、メイシーズです。サンタクロースに扮した老人に関して法廷劇が繰り広げられ、意外な結末を迎える映画「ニューヨーク34丁目の奇跡」の舞台となった老舗デパートです。このCEOがオンラインショップに対抗するために「オムニチャネル宣言」をしました。
「オムニチャネル」とは、個人の多様化したショッピング意欲を満たすため、ネットから店舗へ、店舗から配送へ、口コミからネットへと、さまざまな購買ルートをすべてひっくるめて一社でフォローしていこうとする、新しい営業戦略です。

 

メイシーズでは、老舗らしい風格の裏側で、猛烈な勢いでIT技術を駆使しています。スマートフォンアプリを早くから開発して配布し、オンラインショップや実店舗で利用でき、QRコードでの商品タグ読み取り、ネットショップの展開、配送センターを店舗内に配置した即宅配にも取り組んでいます。
また顧客情報のデータを集積し、どのようなルートで商品購入に至ったかをトラッキングという手法でビッグデータとして蓄積と解析を行うなど、徹底的なIT技術の導入で、ほかの傾きかけている実店舗の商店やデパートを尻目に、急速に売り上げを伸ばしています。日本のデパート業界は苦戦していますが、やり方を考え、知恵を絞って新しい営業手法を展開すれば、そんな悩みなど簡単に克服できるという一例です。これを新しい「ニューヨーク34丁目の奇跡」と呼んでいるわけです。
ここまでの複雑なオペレーション設計は、小さな企業では難しいとは思いますが、少なくとも、同業他社がどのようなオペーレーションを行っているのかを調べるのはそんなに難しくないんではと思います。これを調査し、自社にフィードバックすることも有効です。

自社に合ったオペレーション設計のプロセス

①KPI(重要業績評価指標)の設計を行う

KPIとは、全体売上、利益、事業日、支店間売上のみならず、顧客満足度(CS)等、数値的な計測が困難なものに対して、何らかの基準を設けて定量化し、評価することです。
組織に問題のある企業のほとんどはKPI、つまり評価設計があいまいです。営業など具体的に売り上げという数字で見える営業や生産部門と、 経理や総務などの非生産部門では、同等に評価できません。単純に一括りの評価基準をつくってしまうと、むしろその評価対象から外れた部門は意欲をそがれるということです。
目標や評価手法はそれぞれの部門で違のですから、全員にやる気を持たせてステップアップさせていく動機づけとして、部門別ごとに適切な評価基準をつくり、適切な評価を与えていく仕組みづくりが必要です。

②業務オペレーション設計

誰に、どのように営業するか。
どの流通を開拓するか。
どんな製品を開発するか。
前章までのすべきことを、ここで計画するのです。
スケジュール策定や、業者の選定、採用、その全ての計画を立てます。
もう一つ大事なことを説明します。
これらの策定や遂行には、様々なボトルネックが存在します。
計画は良かったんだけど、中々進まない。結果、競合が一足先に製品をリリースして、自社の製品は売れなかった……なんて話はよく聞きます。
業務オペレーションは、どの企業にも存在する毎日の企業活動そのものです。そもそも業務がうまく回らなければ経営活動は行えないわけですから、企業経営を支える重要な基盤となります。業務オペレーションは効率化が第一義のおかれます。工場の生産ラインを効率化することは多くの経営者が努力しますが、実は会社全体の業務効率化への努力が薄いと思う事が多くあります。一つの意思決定を行うために、多くの判子が必要だったたり、コンプライアンスが厳しくなったため、各種手続きが複雑なったりと、会社が大きくなればばなるほど、この煩雑さは増し、企業として時代の変化に対応できない動きの悪い会社になる事が多々あります。そのため、経営者においては、どこの部署で、どのようなボトルネックが生じているか、社員の声を聞く事が肝要です。そして、そのボトルネックをどのように解消するかの技術が試されるのです。業務オペレーションは、例えば、これは大きなまた競合が現れたとなどの有事にに、力強い対応を可能にします。企業としても競争力の源泉ともなります。

③検証・改善ミーティング

一番重要な、このキモとなる部分が検証と改善です。実行したプランから得られた結果や実行中の不備や不具合について、成功しても失敗しても、必ず検証しましょう。成功した場合はさらにステップアップするためにどうすればいいのか。失敗したならどこが悪かったのか。失敗ではないが十分でないなら、それはなぜか。成し遂げたことの結果にきちんと向き合ってください。成功はノウハウ化し、失敗や不具合についてはプランを修正し、次の成功を目指します。これが成長へとつながる推進力を生み出します。
分析と検証を重ねて改善する流れは、一人では偏った見方しかできなくなりますから、必ずミーティングで多くの意見やアイデアを集め、検証し、実践していくべきでしょう。

④効果測定・改善方法

効果測定とは、マーケティング、マネジメントなどで実行した施策を振り返り、目に見える形で評価することを指します。 マーケティングにおける広告投下の効果などは数値化しやすく、総売上に対して、LTV(顧客生涯価値)を算出するなどの手法が、効果測定として一般的には使われます。
このような計算ができない企業活動については、例えば顧客アンケートを取ったり、インタビューなどで直接話を聞いたりして、反応を確認し、得られた結果を踏まえて、次に向けての改善方法を考えていきます。効果測定によって得られた結果は宝物です。全員で共有できるよう標準化する必要があります。

 

以上、三章から八章までで、「6e」が持つ機能を踏まえて説明してきました。ではあらためて6つの構成を見返してみてください。
今迄は、個別の戦略を見直しましたが、最後に一番大事な話をします。
それは、「フィット」という言葉です。
例えば、理念やミッションと、実際の自社のビジネスが違う。
フランチャイズ展開を計画しているのに。財務調達のスキームがない。
大規模なプロモーションで大幅な問い合わせが生じそうなのに、それに対応するスタッフの調達計画がない。
上げればキリがないのですが、経営戦略の実行で、失敗の原因のほとんどが、この6つの構成が不一致した場合です。
要は、6つの構成が「フィット」、整合性が合ってない場合、経営戦略は失敗に終わるというわけです。
一度、作成した経営計画のポイントを書き出し、それが「フィット」しているか確認してください。