2021.10.11

本当のストラテジックプランニングとは

本当のストラテジックプランニングとは

プロローグ

「ストラテジックプランニング」とは、直訳すると「戦略策定」ですが、日本国内では間違った使われ方をしています。
なぜ、間違った方向に行ったか、また真の「ストラテジックプランニング」とはどのようなものか。本コラムでは、正しい「ストラテジックプランニング」の解釈を伝えます。

国内におけるストラテジックプランニングの変遷

「ストラテジックプランニング」の本質は後述するとして、国内での「ストラテジックプランニング」の解釈、また、なぜ、そのような解釈になったかをお伝えします。

 

まず国内の解釈。

各種WEBサイトに掲載されている紹介文から共通文章を抜き出すと以下のようなものになります。

 

 

「ストプラは広告代理店の中でもマーケティングの最上流に位置する業務であり、クライアントのブランド戦略、コミュニケーション戦略などを、データをもとに立案していきます。ストラテジックプランナーという職種が生まれる前、マス広告の主流だったころはコミュニケーション デザイナーと呼ばれていました。 」

 

 

既に、ここに解釈が変わってしまった理由が出ています。

 

2005年のころまで、広告手法は単純なものでした。消費者行動の研究調査が少なく、行動形態はAIDMA(※)が主流の考え方でした。例えば商品広告を行うには、お金のある企業はテレビCMなどのマスメディア広告(以下マス広告)、お金のない企業はDMやチラシなど、広告の手段は単一的、一方向に使用されていました。

 

※アイドマ(AIDMA)とは、消費者の購買行動プロセスを説明する代表的モデルの1つである。 アイドマでは、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の頭文字を取ったもので、標準的な購買プロセスだと説明している。

 

ところがWEBサイトが急発展し、例えばマス広告の告知からWEBサイトへの訪問、そこから購買を行うなどの消費者行動も変容してきたのです。

 

そこで、マス広告からWEBサイトへの誘引、または当時始まったSNSの活用など、有機的に各施策を結ぶ「コミュニケーションデザイン」という手法が発展してきたのも2005年前後です。「コミュニケーションデザイナー」なる肩書きが広告代理店を中心に増え、広告主から依頼された一つの商品・サービスを総合的に提案、実施するというメリットも生まれました。

 

ここで広告代理店の苦悩が始まります。広告効果の結果値がわかるWEB広告に多くの広告主がシフト。同時に、今まであいまいになりがちだったマス広告の効果を疑い始めました。

 

WEB広告を得意とするWEB系広告代理店は躍進し、WEB広告が得意でない一般広告代理店は、「経営の根幹に迫れば、顧客(広告主)離れは起きない」と考えました。そのため「コミュニケーションデザイン」よりも、さらに広告主の商品・サービスそのものを把握することが必要と考えたのです。

 

こうして、「コミュニケーションデザイナー」から「ストラテジックプランナー」へと、その肩書きはシフトしたのです。

 

やはり、広告代理店もビジネスです。本質は広告のセールスがあります。「ストラテジックプランニング」は、そのセールスのために使われる傾向になり、「広義的なストラテジックプランニング」でなく、「狭義的なストラテジックプランニング」になっているのです。

もちろん、広告効果を最大化するための「狭義的なストラテジックプランニング」でも有効です。

 

しかし、広告のセールスのために策定する「ストラテジックプランニング」になってしまえば、もはや意図的と言われても仕方ありませんし、その効果は疑わしいものになります。

 

本当の「ストラテジックプランニング」を行えば、場合によりマス広告は必要はないこともあり、「ストラテジックプランニング」と広告セールスは一旦切り離して考える必要があると当社は考えています。

ストラテジックプランニングの定義

ストラテジックプランニングの一般的な解釈は、「経営戦略策定」です。

 

海外では以下のような解釈が主流です。

 

「戦略策定とは、組織の戦略または方向性を定義し、この戦略を遂行するために資源を割り当てることを決定するプロセスで。」

 

「それはまた、戦略の実施を導くためのプロセスにまで及ぶ可能性があります。戦略策定は1960年代に企業で顕著になり、戦略マネジメントの重要な側面であり続けています。これは、組織とそれが競合する環境との関係の分析に多くの関係者や研究ソースを関与させるストラテジックプランナーまたはストラテジストによって実行されます。」

 

「Strategic planning is an organization’s process of defining its strategy, or direction, and making decisions on allocating its resources to pursue this strategy.」

 

「It may also extend to control mechanisms for guiding the implementation of the strategy. Strategic planning became prominent in corporations during the 1960s and remains an important aspect of strategic management. It is executed by strategic planners or strategists, who involve many parties and research sources in their analysis of the organization and its relationship to the environment in which it competes.」

 

さて、いかがでしょうか。現在、もし、「ストラテジックプランナー」と名乗る場合、世界視点から見れば、前述したように広告メディアなどの限定されるプランニングであってはならないことになります。

 

むしろ経営戦略全体の知識は必須であり、「ストラテジックプランナー」は、その知識や経験を問われるでしょう。

 

また、(広告代理店等顧客のパートナー企業がストラテジックプランニングを行う場合)経営戦略全体を踏まえた上で、マーケティングやプロモーション戦略を策定するのはむしろ良いことですが、経営戦略全体知識がないのに、「ストラテジックプランニング」を行えば、やはりパートナー企業のビジネスへ意図的に誘導していると思われても過言ではないでしょう。

※もちろんパートナー企業のビジネスを否定するわけではありませんが、要はそのストラテジックプランニングが適切であるかを見極めなければなりません。

本当のストラテジックプランニングとは

では本当の「ストラテジックプランニング」とは、との説明をしたいところですが、その前に重要なお話をさせていただきます。

※詳しい説明は、本コラム【世界一やさしい 「経営戦略」立案講座】に紹介しています。

 

実は「ストラテジックプランニング」に正解はありません。

 

そのことに気づいたのは、今から9年前。当社代表が社員教育のため「ストラテジックプランニング」のマニュアルを探そうとした時です。最初はどこかの出版社が正式なマニュアルを出版しているはずだろうと考えていました。そのマニュアルを探しに探し回ったのですが、一向に理想的なマニュアルは見つかりませんでした。

世界に目を向け、各種論文まで探したが有効なものはありませんでした。

 

結果、なければ当社で作ろうと、(本当に)仕方なく「ストラテジックプランニング」のマニュアルづくりを始めました。

 

しかしながら、勝手につくっても誰も(顧客、社員も)、その手法を信頼してくれるわけがありません。

そのためビジネス教育で実績のあるEUの大学で「ストラテジックプランニング」の体系づくり、また実証研究を行うことにしました。

 

フィリップコトラーのフレームの弱点を発見し、標準的な経営戦略のフレームワークをつくり、同時に同大学の(当社代表が)博士号も得ました。

 

それが当社の「6e」です。企業の活動要素を6つの視点に分け、その個の力と6つの整合性がマッチすることで、企業業績の向上に寄与することが研究でわかりました。

 

この「6e」をベースに社員教育用のマニュアルに戦略から具体的な戦術まで落としこみました。

 

なので社員は企業理念策定やビジネスモデルの開発、ブランディング、さらにSEO対策まで、広義、狭義的な施策を学ぶことができます。

 

大手のコンサルティング会社や広告代理店でも、この取り組みは行っていないでしょう。当社なりにできるところまで、(使える)「ストラテジックプランニング」体系を構築しました。

ストラテジックプランニングフレームワーク「6e」とは

「6e」は、実践的なホリスティックマーケティングをベースに各種経営戦略ツールをブレンドし、企業の活動要素を「1.調査・分析」「2.経営戦略」「3.事業戦略」「4.マーケティング」「5.マネジメント」「6.オペレーション」の6つに分類して配置し、また6つに視点で、企業を分析、企業戦略、マーケティング戦略、マネジメント施策等、全体、個別戦略のアプローチを可能にします。

 

「6e」は進化するフレームワークとして、実際のプロジェクトで獲得したノウハウ、またマーケティング戦略や経営戦略のアカデミズムで発表される論文などを取り込み、研究を続けることで常に最新の状態に保ち進化させることが、「6e」の最大の特徴です。

この「6e」は特許、商標も取得し、かつ今後は世界標準のフレームワークになることを目指しています。

 

これまで、当社では1000社以上の適用実績を誇り、実際に推進すべき戦略として採用されてきました。つまり1000社以上のプロジェクトで検証され、実施されたノウハウも「6e」にフィードバックし、取り込まれているということです。『6e』は得意、不得意の概念がありません。なぜなら課題解決に特化した<フレームワーク=考え方>だからです。
業種特有の課題や商慣習、環境要因も踏まえた事前分析を行い、フレームワークとしてモデル化された<考え方>に、答えを導き出すことを実現可能にしたのが「6e」です。

 

 

企業の6つの構成要素の総合得点が高い企業は業績も好調になります。故に、この6要素を向上させる施策が、企業業績の改善へ繋がることがわかっています。

エピローグ

さて、今回は「ストラテジックプランニング」の紹介をしてきました。

経営戦略を策定する企業経営幹部やマーケティング&プロモーションを担当する企業マーケ担当者様等、少しは参考になったでしょうか。

 

まずは、このコラムの編集方針として、業界に発生している誤解の多くを記事にしたいと考えています。

その後、様々な戦略に関するテクニックなども紹介したいと考えています。

 

コラムの記事は、毎月1日を予定しています。

11月公開予定コラム内容

・日本のMBAスクールの闇