2021.10.30

日本のMBAスクールの闇

日本のMBAスクールの闇

経営戦略策定能力を向上させるMBA取得とは

MBAについて、その名前を知らない人いないでしょう。

ただ、

 

実際どのようなことを教えるのか、

 

また取得することで、どのようなメリットが得られるか

 

までは知らない人がほとんでしょう。

 

まず、WikipediaのMBAを紹介します。

「MBAは、米国において企業経営を科学的アプローチによって捉え、経営の近代化を進めるとの考え方のもとに19世紀末に登場した高等教育コースである。1881年にウォートン・スクールが最初のビジネススクールとして設立され、1920年代にはハーバード・ビジネス・スクールが状況分析と経営判断の能力を訓練するケースメソッドという教育アプローチを開発し、多くのビジネススクールに採用されるようになった。MBAプログラムは、研究者ではなく企業経営の実務家を養成することを狙いとしていたため、早くから実務家の利便性を考えたコース開発が行われてきた。2年修了が標準的であるが、1年の短期コース、夜間や週末に行われるパートタイムコース、通信コースなどさまざまな形態のプログラムが存在する。それらの多くは、実務家が職務を中断することなく学べるように配慮されたものである。また独立起業に価値を見出す価値観が強まったことに伴い、MBAも起業家養成の意味合いを強め、起業家育成に特化したMBAプログラムも登場した。近年の傾向として、多様性・国際性を重視する選択肢として欧州ビジネススクールの人気が上昇している。」

 

上記に記載しているように、MBAは、企業経営や起業家育成のために発展してきました。

 

ここで(少し話はそれますが)過去の印象的な出来事を話させていただきます。

数年前のこと、地元で以前の取引先の元社長偶然再開しました。

この元社長は10数年前に会社が倒産してしまい、その後行方がわからなくなっていました。

後日食事をしながら、なぜ倒産したか、その後、どのような生活をしてきたかを聞かせていただきました。

倒産の理由は複雑な要素がからんでいたようで、説明はここでは省かさせていただきますが、

倒産後、破産、離婚、ガンの発病と、一時期自殺も考えたようで壮絶な人生を過ごしていたとのことです。

そして、最後にこのようことを言いました。

 

「いやあ、社長って免許制にした方が良いよ、会社経営や起業に勉強は必要だよ」

 

その場は何気なく聞いていましたが、後で考えるとこれはとても重要な言葉ではなかったかと思います。

 

MBAの履修では、

経営戦略、マーケティング、ファイナンス、HRM等、経営全般を包括的に学びます。

また、ケーススタディというものがあり、様々な企業の実例を用い、

 

「自分だったら、この課題に対して、どのような打開策をつくるか」

 

など、実践的な模擬訓練が行われます。

 

このような訓練を通じて、

経営の基礎的な考えを会得できるのがMBAの良さです。

 

経営は勘で行うのが良いと言う国内経営者はたくさん見聞きしますが、成功している海外企業でのMBAホルダー保有率は非常に高く、一度でも海外に目を向けていただければ、

「MBAくらい持ってないと話にならない」

と考えが変わるでしょう。

自分が天才的経営者と自信あるならMBAを無視してもかまいませんが、

凡才である私たちはMBAの勉強を通じ、企業経営や起業の成功率を上げるのがベストではないでしょうか。

※MBA取得には他にも様々なメリットがありますが、それは機会があれば今後紹介していきます。

日本企業の経営層がMBAを嫌う理由

国内で、なぜMBA取得が盛り上がらないのか、理由は様々ですが、以下2点が大きな理由かと考えます。

経営者がMBAホルダーを信頼していない

私が履修したビジネススクールでも、偏見が生まれても仕方ないと思われるケースがありました。
それは、大手企業に勤めていて、学位取得で出世を目指すタイプのグループです。それなりの大学を出ているはずですから、勉強は得意です。
このようなタイプは学位が取れればいいので、実践適用を前提とした勉強には前向きになりません。暗記能力や学習テクニック、さらに机上の論理を駆使してMBAを取得し、卒業していきます。卒業後にどうなったか知る由もありませんが、おそらくこういう人たちが「アタマでっかちタイプ」になって、結果、経営者から批判される対象となっているのではないかと推測できます。

MBAはあくまでも経営に関する知識や情報、ノウハウを勉強し、実践に生かす資格であり、それを使いこなせる人材が「真のMBA」取得者です。要は、経営に使える勉強をしたか、しないかの差です。海外企業では、MBA以上の学位がないと、幹部昇進はおろか、会議にすら呼ばれないケースもあるようです。

リーダーにはなりたがらない日本の若者たち

日米中韓の高校生を対象にした勉強に対する意識調査でも、その差は歴然です。日本の高校生の将来展望は、「四年生大学まで」の進学が圧倒的に高く、かつ「リーダーになること」を目的としている高校生は、米国が50%以上に対して日本は一桁台で中国、韓国にも大きく水をあけられています。そもそも日本人は勉強をしたいという意欲が低く、リーダーになりたいともほぼ思っていないことがうかがえます。
こんな風潮ですから、日本のビジネスマンは大学卒業後にほとんど勉強しないのです。いい大学に入って一流企業に入れば、あとは安泰だと思っているのかもしれませんが、終身雇用も危ぶまれる現在の日本で、その発想は幻想であるということが、もうすでに明らかになっています。なのに、入社することを最終目標とする傾向にあります。入社できれば、あとはうまく会社で生き延びていくことを考えるだけ。日本ではまずリーダー、すなわち経営者や幹部を目指すビジネスパーソンが少なく、特別な資格を必要とする人や少数の向上心を持つ人以外に、一流企業への就職という目標が達成できたところで勉強することを止めてしまいます。

高等教育を受けない日本企業の末路

欧米の経営者たちはMBAなどの高等教育を通じて、経営スキルを磨くことがいかに大切かを知っており、それを実践して現在に至っているのです。
かつての日本人には労を惜しまない勤勉さや実直な面、頭脳、そして良質な商品を生み出す知恵や技術などがありました。例えばソニーの「ウォークマン」、日亜化学工業の「青色発光ダイオード」、東芝の「フラッシュメモリ」など、日本人のアイデアと技術力が世界に衝撃を与えた例はたくさんあります。
戦後、何もかも失ってから高度経済成長を経て伸びてきた時代は、知恵と技術、努力と根性で何とかなってきました。当時の経営者たちは、独特の勘や技術、行動力などによって世界に挑んでいった実績があります。しかし、もうそんな時期は終わりに近づいているのかもしれません。
経営者とまではいわなくとも、まずリーダーとして会社に貢献したい、上を目指して学びたいなどという意識を持つ若者の母数が少ないのですから、実際にトップに立つ人材が他国に比べて少人数しか生まれないのは当然です。

中国、韓国、シンガポール、フィリピンなど、ASEAN諸国のエリートは当たり前のように英語を話し、商談に臨んでいます。日本はむしろ内向きになっており、以前よりも留学率が低下してきたとも聞きます。その点だけ見ても、日本人がいかに国際的な人材となり得ないかが分かります。ASEAN諸国と日本の差は年々拡大し、いずれASEANにおいても「高等教育後進国」となり、日本の企業経営スキルはどんどん後退していくと予想できます。
今後、もし世界に遅れを取らないようなビジネスを営んでいきたいのであれば、日本の経営者たち自身がMBAなどの高等教育を学び、経営戦略を編み出せる力を身につけなければならないのです。
その点で、日本と海外の経営幹部の勉強意欲の差は歴然であり、すでに遅れを取っているのです。

 

海外の経営者層のMBA取得率は非常に高く、英会話と同様、経営者らにおける「共通言語」や「共通理解」としてMBAが存在し、経営者や幹部候補になるための必須条件となりつつあります。もはやMBAは経営者らの運転免許証のようなものです。

 

聞き慣れない方も多いでしょうが、昨今の海外では、経営者らの学位として、MBAのさらに上位概念である経営管理学博士(DBA:ドクター・オブ・ビジネスアドミニストレーション)という資格の取得が活発化しています。MBAが自動車の普通免許なら、DBAは二種免許もしくは大型特殊免許のような位置づけと言えるでしょう。世界をまたにかける企業ではそのうち、さらなる上を目指すためのDBAも経営者の必須要件になってくる可能性があります。
日本にも似たような経営学博士(Ph.D.)というものがありますが、これは、同じ博士でも実態は異なります。Ph.D.とはDoctor of Philosophyの略で、特に経営に関してはDoctor of Philosophy in Business AdministrationやDoctor of Philosophy in Managementと呼ばれます。フィロソフィー、つまり哲学から派生した博士号であり、研究者の意味合いが強く、実務を対象としたDBAと大きく異なります。
日本の経営者は個人的なスキルを磨くだけではなく、証明としての学位に関しても、もっと積極的に取り組まなければいずれ諸外国に遅れを取るでしょう。

日本のMBAスクールの闇

ここまではMBAの重要性についていろいろと述べてきましたが、もうひとつ、日本のMBA教育に関して不都合な真実をお知らせします。

わざわざ留学しなくても、MBAを取得できる大学や附属のビジネススクールは日本国内にたくさんあります。現在30数校あるようですが、そのうちMBA教育の国際的な認証評価機関であるAACSB等の国際認証機関から、正式な認証を受けているのは、なんとたった5校しかないのです(220年7月時点)。

 

その5校は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科)、古屋商科大学大学院、立命館アジア太平洋大学経営管理研究科、国際大学国際経営学研究科、早稲田大学大学院経営管理研究科です。それ以外の大学は、まだ正式な認証を受けてはいません。国内ではとても有名な大学なのに、非認証なのです。「MBA取得者」と名乗っていても、国際的な品質基準を満たしたところで学んで初めて「MBAを取ったぞ!」と堂々と言えるのです。

 

ちなみに、MBAの呼び名についても日本国内では統一されていません。大学名は割愛しますが、例えば「経営学修士」、「国際経営修士」、「技術経営修士」など、私が確認しただけでも、しただけも、実に11の呼び名がありました。
しかも国際認証を受けていないのですから、「MBA」と名乗ってはいても、教えられた中身は正式な水準に達したMBAではないのです。なぜこれらを「MBA」と呼ぶのか、その本当の理由は分かりませんが、日本国内では「自称MBA」が幅を効かせ、なおかつ誰もこのことに疑問を持たないというのが現状です。

 

第三者認証って、そんなに必要なの。と思う人もいるかもしれませんが、例えば友人の田中さんが、国の認定のない「田中自動車教習所」を開設し、そこでパウチした運転免許証をもらっても、皆様公道で運転する勇気がありますでしょうか。(笑)

 

確かに運転免許証と違い、上記の非認証のMBAスクールは法律違反をしているとは言えないかもしれません。(消費者基本法等に抵触する恐れはありますが)

経営という大事な運転をするわけですから、国際的な認証を受けていない学校は、やはり「自己流な教え方」と言われても反論することはできないでしょう。

 

こんな実例もあります。
就職活動に励むある人が、外資系の会社への入社試験を受ける際に、自身が持つMBAについて説明しました。このスクールは国際認証を受けていない日本のMBAスクールでした。必死のアピールも虚しく、その人は「評価に値しない」と履歴書を突き返されたそうです。同じ国内MBAを修了した私の友人数人が、この事実を知って激しく落胆していました。そこでそのスクールに対して怒りをぶつけたところ、なんと教授も事務局もこの事実を知らないという有様だったそうです。さらに日本の経営学修士の教授はそれこそPh.D.経由の研究者が多く、経営戦略の実務を経験した人が少ない傾向があります。そのため、授業は学問的要素が高くなり、実業とはどんどん乖離しているのです。
このような現実を突きつけられると、MBAを信頼したくなくなる気持ちがわからないではありません。そして実際に使えないMBAが社内に存在すれば、経営者や経営幹部のMBAに対する不信は確信に変わってしまうことにも納得がいきます。

最後に

ストラテジックプランニングの現場で一番感じることは、やはり「経営戦略・管理」に関するリテラシーが、企業によって大きく違うことです。

経営に関する考え方のみならず、使用する言語の統一に苦労することが多々あります。

 

以前、出張する際、搭乗した機内でメキシコ人と隣席になったことがあります。

彼は英語は話せなく、私もスペイン語ができません。

まったく会話が成立せず、その後のコミュニケーションを断念をせざるをえませんでした。(笑)

 

経営の共通言語を持たないということは、このケースのようなもので、企業経営者、役員など、経営企画の担当者が、現在のビジネスのフィールドにおいて、確実に取り残されることは想像に難しくないのではないでしょうか。

企業経営を行うにおいて、少なくとも書籍でもかまいませんのでMBA的な勉強をするか、もしMBAスクールに行くならば、認証のあるスクールを選び勉強して、自社の経営能力を上げていただくことを願います。

(本コラムは「世界一やさしい 「経営戦略」立案講座 芦田博著」から抜粋しています)

芦田博

 

コラムの記事は、毎月1日を予定しています。

12月公開予定コラム内容

・社長、そのリーダーシップ間違いです