2021.08.28

CSRの前にモラルマネジメント(倫理経営)が必要な理由。

CSRの前にモラルマネジメント(倫理経営)が必要な理由。

プロローグ

過去から現在に至るまで、企業の不祥事から信頼を失墜することで、企業ブランドの低下を招き、最悪は企業倒産などのケースが未だ続いています。

最近は、CSR(corporate social responsibility)の強化やコンプライアンス策定など、企業のモラル強化が進んでいるようですが、
本当に、各企業のモラル強化は進んでいるだろうか、と思うケースが多発しています。

今一度、このコラムでモラルマネジメントの大切さを問いたいと思います。
※企業の不祥事の事例や、その対処方法はたくさんWEBなどにも掲載されていますので、ここでは割愛させていただきます。

私が体験した3 つの事案。

これから紹介する3つの事案は実際に過去2年以内に私が体験したものです。

①某コンサルティング会社の未払いの残念は理由とは

とある財閥系コンサルティング会社の事案です。

当社プロデューサーに、その「コンサルティング会社自体の事業開発」をサポートしてほしいとの話がきました。
その会社のコンサルティングサービスをリモート化したいとのことで、当社はシステム開発を行います。

プロジェクトが進み、納品手前というところで、その担当者から連絡があり、それまでの作業費は支払えないとのことでした。
理由を問うと、「プロジェクト進行中に、同時に信用調査会社に御社の信用調査を依頼したらNGが出ました。よって弊社の与信がおりない状況になったためです」発注書や見積もり、またプロジェクト進行のメール、書面等は数多くあり、法律的なことを鑑みても、このような発言は子供騙しにしか聞こえてませんでした。

過去にも、当社では同様の手口にやられ、民事裁判で100%勝訴したこともあり、私自身も全く動揺することもありませんでした。
早速、先のコンサルティング会社と信用調査会社に当社弁護士から連絡させました。

真相はすぐに判明。
要は、当該コンサルティング会社の担当者が、この事業開発を見切り発車で進めていたようで、予算も承認されているわけでなく、
当然、当社への支払いができません。よって先の嘘をつくしかなくなったのです。

当社の弁護士も、名誉毀損や不正競争防止法等、刑事、民事にも該当する事案ということで、
その通達を先のコンサルティング会社に伝えました。

血相を変えて即日、そのコンサルティング会社の上司が当社に振り込み&謝罪に来たのは言うまでもありません。

ただ、財閥系の名称を持っているコンサルティング会社なので、もし当社が訴訟し、その情報がメディアに流れたら、どうするのだろうと思いました。

おそらく、大幅な株価等の下落など、その損失は計り知れないものがあったはずです。

当該コンサルティング会社の担当者への教育はきちんとしているのだろうか、そんなことを考えた事案でした。

②某大手印刷会社の著作権盗用

こちらの事案は某大手印刷会社の事案です。

当社は、その会社から依頼を受け、複数の提案をしていました。
一つは展示会です。

大きな予算ではなかったのですが、それでもコンペで、とあるIT系会社展示会装飾のパースを作成し、
その他演出プランや運営プランをまとめた、提案書を作成しました。

その後連絡あり、コンペが落選したとのこと。
そのコンペのことを忘れていたある日、私は当社のクライアントが出展している展示会に行きました。

その展示会は、先のコンペで提案した展示会と同じで、そういえばと思い、先の提案した企業がどのような装飾になったか見に行きました。
すると、、。
どこかで見たようなデザイン。
そう、当社が提出したデザインと全く同じでした。
完全な盗用でした。

そして同じ頃判明したのが、当社が出したとあるコンビニエンスストアのキャンペーンのコピーも、
当社スタッフからの連絡で、その盗用が判明しました。

さらに同じ時期にもう一つの盗用が判明。
この印刷会社、テレビCMもやるほどの大きな会社なのですが、
この事実が公になったら、
これまた大問題になるでしょう。

この事案が印象的だったのは、
冒頭のコンサルティング会社と違い、
どの案件も担当者が別の人だったのです。
これは、もう、会社自体の文化に「盗用癖」があるのでは。

③下請法と某財閥系メーカー

最後の某財閥系メーカーの事案を紹介します。
業務委託契約書を結んだ際、その契約書の異変に気づきました。
なんと、支払いサイトが5ヶ月だったのです。

下請法では、発注主の資本金と請負会社の資本金で、支払いサイトの取り決めが行われています。

この場合、通常ならば 納品日から起算して、2ヶ月以内に発注主である某財閥系メーカーは当社に支払わなければなりません。
これを守らないと官公庁のサイトに不正な会社として注意喚起するため、その某財閥系メーカーが掲載さてしまいます。
よって、その注意喚起及び是正を(よかれと思い、丁寧に)某財閥系メーカーにしました。

ところが、その上司が憤怒した状態で電話がかかってきました。

「どの会社もこの支払いサイトでやってるんだ、あななたちは何を今更言ってるんだ」

「あの、下請法を調べた方が良いですよ、このままだと御社が大変な目になりますよ」

「脅してるのか」

「いや、そんなことでなく、、」

私は既に呆れていたので、怒ることもなく、
また次の打ち合わせもあったので、
「とにかく調べてください、話はそれからです」
と言って電話を切りました。
それから10分後、
私が電車で移動中に、彼から連絡がありました。
かなり恐縮した態度が伺えます。

「先程は大変失礼しました。今支払いサイトを変えました」

「ああ、わかっていただければそれで大丈夫です」

「この方は会社の大きさを縦にとり、多くの会社を恫喝してきたんだろうな、
また、法律的な知識の教育も受けていなんだな」と寂しくなったのを今でも思い出します。

大きな企業が違法行為をする事実

上記は最近私が経験したいくつかの例ですので、全ての大きな会社が、このようなことをする会社だとは限りません。
しかし、同業の仕事仲間からも、このような事案を数多く聞いてもいます。

よって私の所感として、

大きな会社はブランド力がある反面、傲慢になっていることが多いと考えています。

大きな会社だから、なんでも許されると思っているのでしょうか。

しかし、実際は、それら担当者の行為は、顧客や取引先の信頼を失うことになっています。

一つ追加でプライベートな事案ですが、先日、大手ケーブルテレビ会社から連絡があり、マンションの部屋内の回線チェックが必要だと言われました。

全体回線確認をしないと全館に迷惑がかかり、また、マンションオーナーからも依頼されているとのことでした。
その後、予定通り技術者が部屋にやってきました。

私は仕事を続け、早速彼は部屋の回線をチェックしていたのですが、
途中新たなサービスの営業をしようとしました。

私は、「ちょっと待って、告知なしで営業行為すると法令違反だって知っていますか」
彼は知らなかったようで、青い顔していました。

そして彼が帰る際、「実は僕は大学生のアルバイトで、この会社に入社しようと思いますが、どう思いますか」
突然の質問で驚きましたが、私はこう答えました。

「この会社についてはよくわかりませんが、少なくとも顧客のことを第一に考える会社に入った方が良いよ」
と答えました。

ただ、大手のケーブル会社でも、大学生に違法行為をさせるなんて、一発でこの会社が嫌いになりました。

ブランド力ない企業の本当のブランド力

前述した企業はテレビCMなどでブランディング活動もしています。
当然、誰もが知っている企業でもあります。
しかし、これらの企業が私に対して与えてくれた印象(ブランド)は最悪なものでした。
果たして、彼らは、ブランディングというものを理解しているのでしょうか。

少なくとも、本当の本当の企業ブランドとは、大きな企業、知名度のある企業=ブランド力がある、
ではなく、、知名度はなくとも、製品・サービス力があり、顧客や取引先に支持される=ブランド力がある。
企業ではないでしょうか。

では、真の企業ブランドを育成する方法とは何なのでしょうか。

前述したダメな企業は、製品・サービス以前に、道徳精神が欠けていると思うのです。
また道徳精神をないがしろにしている企業文化もあるのでしょう。

企業ブランディングには、確かに、ロゴや製品、サービス、社員のスキル向上等も大事なのでしょうが、
その前に、道徳精神がベースになければならないと思うのです。そう、道徳が企業ブランディングに重要なファクターではないか考えています。

モラルマネジメントを行うには

上記の事案のような大きな会社は、コンプラやCSRは必ず存在しているはずです。

それでも、道徳精神が不在することにより、不祥事の発生から企業価値損失の可能性、またブランド力の低下に気づかないでいるのです。

これらの企業は、まずブランドの本質に気づき、形だけのCSRやコンプライアンス策定から脱却して、今後の企業にはモラルマネジメント(倫理経営)が必須になるのではないかと思います。

では、企業は何をすべきか、その打開策を述べたいところですが、実は、このモラルマネジメントスキームを当社で開発しています。
次なる機会で、その方法論をこのコラムで紹介したいと考えています。

それでも、今スグ「薬」がほしいという方、おすすめの方法があります。それは「日本昔話を見る。読むこと」です。モラルマネジメントの基礎となる理論が多数入っています。(半分本気、半分冗談です)