2022.03.03

我が社の受注基準

我が社の受注基準

経営本、MBAでは学べないこと。

経営戦略とかMBAスキルとか、経営に関する書籍は今も人気です。
ただし、これらの書籍では記載されていない、または学べない「活きたノウハウ」もたくさん存在します。
 
私自身も、経営の勉強として、MBA(経営学修士)やDBA(経営学博士)を取得してきましたので、経営業務を行う者は、経営関連の知識取得は「すべきコト」であって、「当たり前のコト」でもあると考えるに至っています。なので、これら経営関連書籍やMBAの存在価値を肯定はするものですし、決して否定するものではありません。
 
しかし、その書籍から知識を学んだことはあくまでも基礎であって、実践を通じて培う「応用」も学ことが必要です。
 
しかし、皆様からは、「応用は仕事を通じて学ぶモノ」とお叱りを受けそうですが、少なくとも、この「応用」テクニックの共有は非常に役立つのではないかと思います。
 
上記多くの書籍やMBA教育は、この「応用」らしきものはほとんどありません。なので、(有名でない身近な)経営者の自伝などを読んだ方がよっぽど勉強になるかと思っています。
 
長い前置きになりましたが、割と短期で業績を改善できるテクニックを今回一つ紹介します。

付き合う会社を変えれば会社は良くなる。

1000社のサポート経験や自社の経営を通じて、確実に言えるのは、
 
社内外のステークホルダー(会社に関与する人、会社すべてを指します)の良し悪しが、
かなり高い確率で会社の価値(業績やES等)を決めています。

 
よって、このステークホルダーの棚卸一つで、業績は短期間で改善します。
 
「あなたの言いたいことはわかったよ。要は採用だろ。良い人が入れば苦労しないんだよ」
 
と思ってないでしょうか(笑)
 
もちろん、内部人材は大切ですが、
 
今回は取引先の見直しについてが中心です。
 
皆様の会社には「受注基準」というものはありますでしょうか。意外や「採用基準」や「(発注先の)取引先基準」
がある会社は多いのですが、「(クライアントの)受注基準」がある会社は少ないものです。この「受注基準」を明確にしないと、
 
①業績の悪化
 
②ES(従業員満足度)の低下、退職率の増加
 
場合により、倒産が起こる、と考えています。
 
国内の倒産の70%は「業績の悪化」となっていますが、これはあくまでも表向きの表現であって、その要因までは説明されていません。
 
この①と②が引き起こされる最初の要因は、私の経験では、この「受注基準」がなかった会社に多く発生しているのです。早速事例を紹介します。

クライアントを選ばなかった会社の末路

10年くらいの前の話です。とある大手広告代理店の担当者に呼ばれました。仕事の依頼ですが、某大手通信会社のイベント&システム制作の仕事でした。予算規模も大きく、ブランドのある会社ですから、
当初は興奮しました。
 
どうやら、その仕事は毎年行われているようで、なぜか、毎年業者が変わっていました。私は「なぜ毎年担当社が変わるんですか」と聞いたのですが、代理店の担当者からは明確な回答は得られませんでした。
不審に思った私は、その仕事を断りました。代わりに入った会社は私の仕事仲間が知っているイベント会社でした。
 
数ヶ月経った頃、その友人から電話がありました。前述のイベント会社が倒産したとのこと。よく聞くと、そのイベント会社は散々、某大手通信会社や広告代理店に振り回され、その会社のほとんどの社員を動員したのにもかかわらず、システムが要件を満たさず、(結果使えるのですが、条件の一部が未完成だっただけで)請求できず、かつ、社長や社員までうつ病になってしまったとのこと。
 
そう、私の予想通り、ブラックなクライアントだったのです。(そのイベント会社の技術力には問題なかったようです)私自身のこの案件撤退の判断はとても正しかったと、安堵したのを今でも覚えています。
 
次は明るい話をしましょう。私がCMプロデューサーになりたての頃、各所営業に回りました。営業が功を奏して、とあるクライアントから連絡がありました。喜んでお伺いすると、なんと仕事の発注金額は10万円。内容は、銀座でガラポンを回すイベントの仕事だったのです(笑)「私はCMプロデューサーなのに、、」と思いながらも、その仕事はとにかく頑張りました。
 
そんな仕事が数回続き、また呼ばれました。やけくそになっていたのか「次はもっと大きなガラポンを使おう」なんて考えながら出向いたら、「CMの仕事なんだけど、やるか」その仕事は多めの予算も頂き、
結果国際広告賞を受賞しました。
 
後に聞いた話なのですが、その担当者は、「芦田くんは、10万の予算でも一生懸命やるからCM頼んだとのこと」そんな私も、その担当者を尊敬していたので、10万の予算でも、仕事が楽しくなっていたのです。これは10万の仕事が数千万の仕事につながった一つの事例です。
 
こんなエピソード、まだまだあるのですが、キリがないのでこれまでとします。さて、前者の方が良いか、後者が良いか、それは火を見るより明らかです。
 
このような経験から、
 
「良いクライアントを選べば、会社は繁栄するし従業員の動機も高くなる」
 
「悪いクライアントを選べば、会社は没落し、従業員のやる気は失われる」
 
ということを学んだのです。
 
この学びはMBAでは学べなかったし、「受注基準」を設けてない会社が多いと考えれば、多くのビジネスパーソンが意識していない概念かと考えています。(無意識に対処している人は多くいますが、、)
 
これらの経験から、今までのクライアントパターン分析などを通じて、自社は「受注基準」をつくったのです。そこで皆様の会社が、「受注基準」をつくっていただくための参考として、我が社の「受注基準」を紹介します。

我が社の受注基準

適切な受注基準が良い会社をつくる
 
今後仕事を続けると、様々なクライアントと出会います。
 
・有名な企業、
 
・大きな会社、
 
・予算が大きい、
 
最初は、そんな会社から受注し大喜びするものですが、受注判断には間違いが多く、クライアントに振り回されたり、納品が終わっても支払いがなかったり、責任転嫁されたりすることがあります。そんなクライアントと仕事をすると、社員の動機の低下、疲弊、財務の悪化など、よくないことばかり起きます。
 
そのため、我が社には明確な受注基準を設けています。これは我が社のPQCデータから様々なケースを分析して、策定されたものです。実際、この受注基準を守らないで業務を遂行すると、ほぼ100%、上記トラブルなどが発生します。

受注基準の根本は、クライアント側の礼節や道徳心となります。礼節、道徳など、人の社会活動に必要な素養を、クライアント企業の経営者、社員にきちんと落ちているか否かです。もちろんクライアントばかりに礼節や道徳心を求めるばかりでなく、我が社も、外部パートナーから、この基準を求められていることを忘れないでください。
 
ストラテジックパートナーズの受注基準とは
 
良好なお客様:良好なお客様は、以下の要素を持っています。取引開始の際は本要件を踏まえてください。
下記のようなお客様との取引は、小さな企業でも、小さな発注金額でも、将来に渡って自社に大きな大きな利益をもたらします。このようなお客様との取引は、最終利益の増大、スタッフのモチベーション向上、案件機会の拡大を生み、自社にも好機な状況を招きます。
 
〈ハード〉
・会社業績に偽りのない企業
 
・多大なる負債(カネ)が無い会社
 
〈ソフト〉
・蓄積されたノウハウ(形式知、暗黙知)のある会社
 
・数多くのネットワーク(情報)がある会社
 
・ブランドファクト(ブランド)が蓄積されている会社
 
・キラリと光る商品・サービス(モノ)を保有する会社
 
〈ヒューマン〉
・経営者/経営幹部が常に企業の成長を願う会社
 
・金儲けに偏らず、会社のミッション(使命)に向けて遂行する会社
 
・経営者/経営幹部が廻りを巻き込むパッションと気概のある会社
 
・共に成長する姿勢の会社
 
・社員(ヒト)を大事にする会社
 
・協力会社を大事にする会社
 
・礼節がしっかりしている会社
 
反対に警戒すべきお客様:
反対に警戒すべきお客様は、以下の要素を持っています。お客様との取引は、企業規模、ブランド力、大きな発注金額に惑わされないことが必須です。このようなお客様との取引は、最終利益の低下、稼働増大、スタッフのモチベーション低下、他案件機会の損失を生み、場合により自社が危機的な状況に陥ります。取引開始の際は注意が必要です。
 
・自社の悪口を言う社員が多い会社:人馬一体でない、会社のせいにすれば何やってもよい。
 
・感謝で終わらす会社:ありがとうを言えば、無償で済むと考える。
 
・出来高、出世払いを求める会社:サービスに対する支払いの覚悟がない。
 
・外的要因にする会社:自己の責任を常に外に求める。(責任転嫁体質)
 
・知識のつまみ食いをする会社:大きな仕事をちらつかせ、ノウハウを引っ張るセコイ考え。
 
・態度が悪く礼節に欠ける会社:パートナーを下に見ている。外注企業を奴隷扱いするアイコン。
 
・やる気のない会社:火が付かなければ、成果は絶対でない。
 
・約束を守らない会社:小さな約束を守れないは、大きな目標も達成できない。
 
・値切る会社:サービスに価値を感じていない。
 
・言行一致しない会社:口だけの人は、発注に責任を持たない。
 
・コンペをする会社:業務への責任を持ちたくないという意識の表れ。(外注差別体質)

最後に

皆様においては、「この会社、生意気だな〜」と思われたかもしれません。ただ、私自身、過去には忖度や気遣い、商流などを気にして、社内外で息苦しさを感じ、社長でありながら、会社に行くことが嫌になることがありました。
 
間接的に時間や金が奪われ、財務さえも悪化していきました。原因を賢明に考えた結論が、(自分に正直になり)嫌な人から離れ、もしくは、忖度しない、忠告するという決断でした。
そんな決断と同時期に、当社のパートナースタッフから呼び出されました。どうやら当社のスタッフからぞんざいな扱いを受けたので、社長(私)に直訴したとのこと。外部パートナーは当社にとって大きな財産です。なぜなら彼らがいないと業務がなりたたないからです。
 
https://toyokeizai.net/articles/-/258196?page=3
 
その外部パートナーに当社のスタッフは非礼をしていたのです。これには大きなショックを受けました。そこから当社の拡大路線は一旦やめて、
 
モラル経営(https://strategicpartners.jp/column/column-3723)に切り替えることにしました。
 
今は、その外部パートナーにとても感謝しています。なぜなら、会社の脆弱性を教えてくれたからです。それからはクライアントであっても社員でも、友人でも気づいたことを言うようにしました。
そこでつくったのが(会社においては)上記の「受注基準」です。すると次第に不思議なことが起きました。友人はより友人に、良好な企業はより自社に利益をもたらし、反対にフリーライダーやパラサイト傾向の人や企業は離れていきました。
 
以上のような背景が「受注基準」に込められています。皆様の是非、この「受注基準」をつくってみてください。ただし、当社のように公表しない方が賢明です、、。ご理解、宜しくお願いします。
 
文:芦田博
 
●コラムの記事は、毎月1日を予定しています。
4月公開予定コラム内容:「ほとんどの社長が知らないリーダーシップとは」